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矢尾定へおこしやす~四季を味わい、雅を運ぶ~

皆さんこんにちは!

矢尾定の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~四季を味わい、雅を運ぶ~

1. 京都仕出しにおける“季節感”の意味

京都の仕出しは、ただおいしい料理を届けるだけでなく、その時季ならではの景色や香りを器の中に映し出すことを大切にしています。
料理の色彩、食材の旬、器やあしらい、盛り付けの形──すべてが四季と結びつきます。
この美意識は、千年の都で育まれた「移ろいを愛でる文化」の表れです。


2. 春 芽吹きと華やぎを詰める

春の京都は、桜や若葉、山菜が旬を迎えます。仕出しでも華やかな色合いと軽やかな味わいが中心です。

代表食材と料理例

  • 筍(乙訓産):若竹煮、筍ご飯

  • 菜の花:辛子和え、白和え

  • 桜鯛:昆布締めや塩焼き

  • 木の芽:香りを添えるあしらい

  • 桜麩・桜花塩漬け:吸物や飾りに使用

器や包み紙にも桜柄をあしらい、見た瞬間に「春が来た」と感じさせます。


3. 夏 涼やかさと清涼感を届ける

夏は涼を呼ぶ盛り付けや食材が主役。冷たい料理や水分を多く含む野菜が好まれます。

代表食材と料理例

  • 賀茂なす:田楽、揚げ浸し

  • 鱧(はも):落とし(湯引き)や照り焼き

  • じゅんさい:冷やし吸物や酢の物

  • みょうが・青じそ:香味を添える薬味

  • 蓮根:薄切りで透け感を活かす

器はガラスや青竹を使い、氷や笹の葉で涼感を演出します。


4. 秋 実りと深まりを彩る

秋は実りの季節。色彩も赤・黄・橙など温かみのある色合いが増えます。

代表食材と料理例

  • 松茸:土瓶蒸し、焼き物

  • 丹波栗:甘露煮、栗ご飯

  • かぶら:炊き合わせや漬物

  • 秋刀魚・鮭:塩焼きや幽庵焼き

  • 紅葉麩・銀杏:飾りと食感のアクセント

器には紅葉の絵柄や漆器を用い、秋の山景色を連想させます。


5. 冬 温もりと滋味を包む

冬は体を温める煮物や、寒さに甘みを増した野菜が中心。お祝い事も多く、紅白の彩りが映えます。

代表食材と料理例

  • 聖護院かぶら:かぶら蒸し、煮物

  • 寒ぶり:照り焼きや刺身

  • 千枚漬け:冬限定の漬物

  • 大根・小芋:含め煮

  • 柚子:香りを添える吸物

器は温かみのある陶器や蒔絵の椀を使い、温もりと上品さを表現します。


6. 季節感を引き立てる“あしらい”と“器”

京都の仕出しでは、食材だけでなくあしらい(添え物)や器も季節の大切な要素です。
春の桜葉、夏の青竹、秋の紅葉、冬の雪輪模様見た目から季節を感じ取れるよう計算されています。
これにより、料理は単なる食事ではなく「季節を運ぶ芸術作品」となります。


仕出し料理に使われる京の食材は、旬そのものを映し出す“季節の便り”です。
食材の選び方から盛り付け、器やあしらいまで一体となって、目・舌・香りで季節を味わうのが京都仕出しの真髄。
これこそが、京都の仕出しが何百年も人々に愛されてきた理由と言えるでしょう。

 

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