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月別アーカイブ: 2025年9月

矢尾定へおこしやす~衛生・物流・設営を仕組み化する 🧴🚚🧰~

皆さんこんにちは!

矢尾定の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~衛生・物流・設営を仕組み化する 🧴🚚🧰~

 

1|HACCP思考で流れを描く 📊

受注→仕入→下処理→加熱→急冷→盛付→保管→配送→引渡。各工程に**CCP(重要管理点)**を設定。例:

  • 加熱中心温度:75℃1分以上(鶏)/ 85℃1分(卵)。

  • 急冷:90分以内に10℃以下。

  • 記録:温度ログ・ロット・作業者を日報一元管理

2|衛生:手袋より“手順” ✋

  • 手洗い30秒→アルコール→素手で触らない段取り

  • 色分けまな板/包丁(生・加熱・アレルゲン)。

  • ノロ対策:次亜塩素1000ppmで吐物処理動線を事前に。

3|だしとご飯の“持ち”を最大化 🍚

  • だしは一番+追い昆布で香をキープ、濾過紙で雑味除去

  • ご飯はやや固め炊き→蒸らし長め、酢飯は粗熱が取れる風の路をつくる(団扇/送風)。

4|配送:温度帯と振動のW管理 🚚

  • チルド10℃以下保温60℃以上でゾーンを固定。

  • 保冷剤は隙間なく、吸水紙で結露対策。

  • 段積み禁止のピクトグラム、急ブレーキ想定の固定はラチェットベルトで。

5|現地設営:導線が“味”を決める 🧰

  • 受付→配膳→ゴミ動線を交差させない

  • 法要は静音・控えめ香り、お祝いは華やかな色味

  • リードタイム:会式30分前まで設営完了、15分前に最終温度確認。

6|クレームゼロの引渡し術 🙇‍♀️

  • 代表者と数量・献立・アレルゲンを声出し確認。

  • 食べ頃時刻をラベル表記(例:13:30が最もおいしい)。

  • 残食の持ち帰り可否を口頭+紙で明示。

 

7|まとめ

“美味しさ”は台所で完結せず、現地に届くまでが作品。工程ごとの型を作れば、職人技は再現可能な品質に育ちます。最終回は未来戦略:インバウンド・多様性・サステナを展望します🌏。

 

 

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矢尾定へおこしやす~だし・温度帯・時間差の科学 ~

皆さんこんにちは!

矢尾定の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~だし・温度帯・時間差の科学 ~

 

 

仕出しは出来立て=最強ではありません。狙うのは**“食べ頃”の到着**。だしの落ち着き、酢締めのなじみ、煮物の味含ませがピークになる時計合わせが命です⌚。

1|春(弥生~卯月):香り立つ“初々しさ”

  • 八寸:菜の花辛子浸し、桜鯛昆布締め、筍木の芽和え。

  • 炊合せ:若竹煮(だし:一番だし7、薄口醤油1、味醂0.5、塩少々)。

  • 寿司:手綱寿司(鯛×酢飯は弱めの合わせ酢で清澄感)。
    温度帯:常温寄り。木の芽・柚子の揮発を活かすため冷やし過ぎない。

2|夏(皐月~葉月):清涼と衛生のマネジメント ☀️

  • 冷やし鉢:賀茂茄子オランダ煮に生姜ジュレ。

  • 酢肴:鱧の落とし梅肉、きゅうり雷干し。

  • 御飯:とうもろこしご飯(冷めても甘い)。
    温度管理10℃以下のチルド出荷、保冷剤は上下面の対流を考えて配置❄️。

3|秋(長月~霜月):旨味の重奏

  • 焼物:鰆幽庵焼き+銀杏素揚げ。

  • 炊合せ:里芋・蓮根・舞茸の含め煮(香りは強火→蓋して余熱)。

  • :きのこ散し、色は淡く香りは豊かに。
    名残の演出:柿膾や菊花和えで去りゆく季節を忍ばせる。

4|冬(師走~睦月):滋味と保温

  • 温もの:蕪蒸し(海老/鱈/銀餡)、湯気の“香り演出”に竹皮保温

  • 強肴:鴨ロース煮(寝かせで旨味凝縮)。

  • 口直し:千枚漬け。
    到着時の温感:断熱材+二重蓋。汁気は別添え出汁でこぼれ対策。

5|献立表の“読みやすさ”と言葉選び

献立名は漢字+ひらがなで硬軟バランス。「炊き合わせ」「揚げびたし」「うぐいす醤油」など風景が浮かぶ語を。アレルゲン表示は枠外に明快、英訳は素材→調理法→味付けの順

6|数量・単価の設計

  • 法要折詰:3,000~5,000円帯が主力。

  • お祝い会席箱:6,000~10,000円で器・紙質を格上げ。

  • 大口(企業・学校):1,500~2,500円の“現場最適化”モデル(食べやすさ・片付けやすさ)。

7|まとめ

“時間差おいしさ”を設計できれば、仕出しは現地調理を超える瞬間があります。次回は**オペレーション(衛生・配送・設営)**を具体的に解剖します。

 

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矢尾定へおこしやす~盆地に息づく“もてなし”の系譜 🏯🍵~

皆さんこんにちは!

矢尾定の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~盆地に息づく“もてなし”の系譜 🏯🍵~

 

京都の仕出しは、単なる配達弁当ではなく「客の場へ料理人の腕と心を出向かせる」営み。茶の湯・年中行事・町衆文化が交差する都では、季節感・儀礼・しつらいが一体となり、器や包み紙、結び方にまで美意識が通います🎋。

1|起源:公家・寺社・町家が育てた“出張厨房”の知恵 ⛩️

平安の宮中食、禅林の精進、戦国~江戸の茶の湯が影響し、家ごとの催しや法要、寄合いに料理を“出す”=仕出す慣習が広がりました。盆地の気候は保存や運搬の工夫を促し、昆布・鰹・干し椎茸のだし文化が洗練。日持ちや温度帯を見こした炊き合わせ・焼き物・酢の物の構成が型に。

2|京料理の原理:五味・五色・五法と“走り・旬・名残” 🌈

  • 五味(甘塩酸苦旨)、五色(赤黄青白黒)、五法(焼煮蒸揚生)を調和。

  • 盛り付けは盛り切らず余白を残す=“間”の美学。

  • 「走り(先取り)」「旬(真ん中)」「名残(去り際)」で季節を見せ、仕出しでは時間差も味方にします🌿。

3|行事と仕出し:ハレとケの設計 🎎

  • 松の内:祝い肴・黒豆・田作り・数の子。

  • 節分:いわし生姜煮、巻き寿司。

  • ひな祭り:はまぐり真丈、ちらし寿司🌸。

  • 祇園祭:暑気払いの酢取肴、出汁ジュレで涼味。

  • お彼岸/法要:精進折詰、色味は落ち着き、香りは控えめに。
    日にち・開始時刻・会場導線を逆算し、味のピークが訪問時に合うよう火入れと冷まし工程を調整します🕰️。

4|包む文化:杉・檜・和紙・水引の情報設計 📦

京都では包み=物語。木箱や経木は吸湿・防臭に利き、八角・長手など器形で場の格式を示す。水引の色・結びは意図の言語化(お祝い=紅白、弔事=白銀など)。ラベルは最小限、筆致は柔らかく。視覚と触感で“京都らしさ”を届けます。

5|まとめ

京都の仕出しは移動する茶懐石。だしと温度、時間と器、四季と礼法が織りなす総合芸術です。次回は季節と献立設計を、数量・単価・人員のリアルとともに具体化します🍁。

 

 

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